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【日本語教育能力検定試験】vol.2社会言語学とは?【Sociolinguistics】

投稿日:2019年7月8日 更新日:

こんにちは、みなさん。

今日も昨日の続きで、社会言語学をやっていきたいと思います。

社会言語学には、いくつかのキーワードがあります。

「言語変種」(language variety)

言語変種・・・ある言語にみられる体系的な変異のことです。集団間で互いに異なる言語変種が使用されているとき、その言語変種は方言(dialect)と呼ばれます。

また言語変種には大きく以下の2つに分けられます。

地域方言(regional dialect)

社会方言(social dialect)

地域方言・・・話者が生活している地域によって異なります。いわゆる方言のことです。

たとえば、日本語の地域方言は、大阪弁東北弁標準語沖縄弁などがあります。

社会方言・・・話者が属している社会的な階層や集団によって異なります。

たとえば、男女差年齢差職業差教育差などです。

それでは以下で、実際の例を見ていきましょう。

1:階層差によるアメリカ、イギリスにおける社会方言の例

多重否定

突然ですが、次の英文はどこが間違っているでしょうか?

He didn’t give me no food.

どうでしょう?間違っていないようで、正確には間違いがあるんです。

He didn’t give me any food.

が正しい英文です。本来は「no」を「any」にしなければなりません。

この「He didn’t give me no food.」内に否定語が2つ有り、このような文を多重否定といい、主に黒人が多用すると言われています。

次の表を見て下さい。

社会階級 人種 多重否定の割合
(上流階級)    
黒人 6%
  白人 0%
黒人 25%
  白人 6%
黒人 41%
  白人 32%
黒人 74%
  白人 56%
(下流階級)    

この表は、多重否定を使う人の割合を白人と黒人で分け、さらに階級別にわけたものです。

この表からは、階級が上になるほど、白人も黒人も正しい文法を使っていて、

下流階級になるほど、間違った文法である多重否定を白人も黒人も使っています。

ただ、白人と黒人の多重否定を使用する割合は黒人の方がどの階級も多くなっています。

② house「h」の発音。(イギリス:ウェスト・ヨークシャーでの調査)

社会階級 / h / を発音しない割合
(上流階級)  
17%
21%
43%
64%
96%
(下流階級)  

この表からも、階級が上流になればなるほど、ちゃんと「h」の発音をしており、下流ほど「h」の発音をしていません

三人称単数現在の「‐s」(アメリカ:デトロイトでの調査)

社会階級 「-s」が落とされる割合
(上流階級)  
1%
10%
57%
71%
(下流階級)  

※社会階級は職業、教育、年収をもとに計算。

この三人称単数現在の「-s」は、僕たちも中学校の英語の授業で散々泣かされましたね。

この表のデータからも階級が上がれば、文法として正しい「-s」が使用され

階級が下がるほど、文法的に間違っている「-s」が落とされています。

以上のいくつかの表から、社会方言は教育的な背景があると思われます。

2:日本における階層差の社会方言

位相」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

位相とは、話す人が所属する社会集団、場面、地域などの違いによって、違う言葉を使ったり、違う使い方をしたりする現象のことです。

以下にいくつか例を挙げてみましょう。

①女房詞…宮中の女房たちによって使用された言葉。

〈「お」の付く例〉

おでん、おかず、おかか、おはぎ、おひや、おなか、おつむ、などです。

〈語尾に「もの」や「もじ」が付く例〉

青もの、臭もの、お長もの、細もの、しゃもじ、などです。

〈他の言葉に言い換える例〉

衣かつぎ(サトイモ)、波の花(塩)

〈言葉を重ねる例〉

あかあか(赤小豆)、いしいし(だんご)、するする(するめ)、などです。

②武士詞…江戸時代の武士特有の言い方。

拙者、それがし、手前、申す(謙譲語「いたす」の意)、聞く(「退く」の意)、などです。

③遊女詞…「郭ことば」とも言います。

~であります、などがあります。

映画とかで「~でありんす」とか聞いたことがある人もいるかもしれませんね。

3:男女差(ジェンダー)

男性と女性では、使用される言葉や表現に特有のものがあります。

〈男性が良く使う言葉・表現〉

俺、ワシ、僕、君、おい、うまい、飯、臭ぇ、金、~てやる、~だい?、~かい?

〈女性が良く使う言葉・表現〉

ウチ、あたし、ねぇねぇ、~よね、あらまぁ、~かしら、~してちょうだい、~だわ。

ちなみに、皆さんは男女が違う言葉を使うことについて、どう思いますか?

また、女性が自分の事を「ぼく」と呼んでいる人を見たらどう思いますか?

それこそ男女平等ジェンダー問題LGBTなど、性差が昨今問題になってますよね。

僕としては、男女にそれぞれの言葉づかいがあった方が、よりそれぞれの性の独立性や尊重、また奥ゆかしさを感じます

〈話し方の男女差〉

次に以前の僕のツイッター投稿を見てみましょう。

この夫婦の会話を聞いて、皆さんだったらどっちが悪いと思いますか?

男性目線と、女性目線とでまた意見が分かれるかもしれませんね。

このような問題は、自分のスタイルで相手のスタイルを解釈しているから起こり得るかもしれません。

話し方のスタイルには2つあります。

リポート・トーク…自分の持っている知識、技術、情報を相手に見せることによって、社会的な立場を守ったり、改良したりするのが会話の目的です。

ラポート・トーク…相手と似たような経験や考えを話すことによって居心地のよい、親密感を作り出すことが会話の目的です。

ちなみに、リポート・トークは男性的ラポート・トークは女性的と言われています。

また、女性語にはいくつかの特徴が挙げられます。

女性語の特徴…男性より社会的に評価の高い発音や文法を使おうとします。敬語の間違いには敏感と言われています。

このような原因にはいくつか考えられます。

①男性よりも女性の方が、正しい、きちんとした行動を期待されているから。

②女性は社会的地位が低いとみられているので、地位を守るため。

③標準的ではない言葉は、強さ、野暮ったさなどの男らしさの象徴であるため。

ただ、最近では性差、男女差の言葉の違いも少しづつ無くなってきているように思います。

長くなってきたので、続きはまた次回に。

-日本語教育

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  1. […] ダイグロシアとは、1つの社会に2つの言語変種が共存している状態の事です。 […]

  2. […] 社会言語学の記事で書いた、言語変種と同じような内容ではないでしょうか? […]

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